« 聖なる時間 |
メイン
| 自然保護保全運動の世代交代と人材不足 »
›12 23, 2003
インプットの旅
Posted by Tatsuya at
22:46 /
Category:
Eco-Eco
/
0 Comments
/
0 TrackBack
例年、年末年始の知床ウトロ温泉は地元のお客様の忘年会や新年会、家族旅行などで部屋が埋まるので、僕たちネイチャーガイドの出番は全くといってよいほどなくなる。以前は正月プランのツアーなども企画していたが、ここ数年はいっそのこと12月中旬〜1月中旬まで休業にして、スタッフたちが各地のエコツアーを勉強しに出かけたりする機会にしている。僕も普段会えない人と会ったり、東京の実家に戻り離れて暮らすジジババに孫の顔を見せたりと、この年末年始の休みを有意義に使っている。いろいろな人から「いいですね〜」と羨ましがられるが、それ以外の労働状態を聞いてから言ってくれ〜(涙)。流氷がやってきてから、春、夏、秋と休みという休みは取れない。以前岩山と2人で経営していたときなんかは5月から9月で休日がたったの1日という状態が数年続いた。いつもこんな状態だから、この時期ぐらいはまとめて休んでおかないと、健康上そして精神衛生上体が持たない。
そして何より、ガイドの仕事はそれ自体が「仕事」になってしまうと、実はプロとしての「仕事」ができなくなるのだ。これは僕たちにとって実は深刻な問題であり、ものすごいジレンマなのだ。
どういうことかというと、僕たちはお客様を安全かつ楽しくガイディングすることが「仕事」だが、自分の中に語るべき事柄、自分の中の感動が無くなった時点で、そのガイドはマニュアル化されたテープレコーダーと化してしまう。自分の中に感動がなければ、お客様は感動しない。多くのインプットがあって、はじめて深みのあるアウトプットが生まれる。僕たちは時間のない中、常にそういったインプットを渇望し、ガイドの合間の数10分を夕日を見に出かけたり、自宅に帰る直前に夜の森でシマフクロウの声に耳を澄ませたり…努めてそういった機会を作るようにしているが、ハイシーズンはそれすらままならないので、比較的余裕のある今の時期、それぞれのガイドはそれぞれのインプットの旅に出かけている。ちなみに今年はスタッフたちはボルネオのエコツアーに出かけていった。
僕はというと、家族持ちで海外においそれといけるわけもなく、また休みを計画していても結局は世間の仕事納めまで何だかんだ予定が埋められていく(勝手に!)。それでも、故郷である東京にいるだけでも、僕にとってはインプットの旅だ。東京に住んでいたときには気がつかなかったことが、久しぶりに帰ってくると思い出されたり、僕が子供のころ心の中に抑圧していたことに気付いたり、自分が今なぜ知床でこういったことをやることになったのか、そんな原点を思い起こさせてくれる旅なのだ。
子供の頃から慣れ親しんできたところに自ずと足が向かうのだが、東京郊外の自然破壊はあいも変わらずひどいものだ。ちょくちょく出かけていた霊峰/高尾山を貫く圏央道予定地に立派な橋脚が完成していた。僕がMTBで走り回っていた林道という林道もきれいに舗装されている。トンネルが次々とでき、あれほど別世界だった山のこっちと向こうが、いとも簡単につながっている。先日仕事の打ち合わせで渋谷の街に立った。学生時代よく遊んだこの街はさらにパワーアップしていた。
街自体が意思を持ち、好むと好まざると誰にも止められない生き物になっている。僕はこの"どうしようもなさ"が嫌いではないのだ。この"どうしようもなさ"を何か違った方向に向かわせることができないのか…。それが僕のすべての原点。改めてそんなことを見つめなおしている今日この頃。
≪続きを隠す
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL:
http://www.shinra.or.jp/bin/mt-tb.cgi/1294
コメントしてください