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›10 13, 2003
土地のストーリー
Posted by Tatsuya at
00:16 /
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友人の誘いで、町内の演劇グループの公演『イタドリの風』を見にいった。手作りの演劇なのでご愛嬌の場面も多いが、不覚にも号泣(笑)。知床半島の斜里とウトロの中間にある「真鯉」というところにかつてあった集落が舞台で、そこに赴任してきた学校の先生が見た、僻地の深い人間模様と熱い人たちの実話をベースとしたドラマだ。実際にその教師だった中沢菊枝さんという方が書いたこの原作はTVの『北の国から』なんて足元にも及ばないほど、とても迫力のあるものだ。そして知床に住んでいると、当時真鯉に住んでいたなんていう人も身近にいたりして、その人が作品の中で登場したりするだけで、もう涙が込み上げてきてしまう。実際、当時を懐かしく思い出すという意味で、今日の公演を心待ちにしていたおじいちゃんおばあちゃんもいたというから、この公演を実現させた人に対して心からRespect!
この劇を見て、僕はその土地のストーリーみたいなものについて考えた。今では牧場が一件あるだけの真鯉には、かつては集落があって、そこで人間のいろいろなドラマがあり、そこで生まれるものあり、死ぬものあり…と、土地には何らかのスピリチュアリティ−霊性−みたいなものが眠っていると思う。それは、この劇が舞台にしたここ数十年の話に限らず、アイヌ民族がいわゆるアイヌ民族らしい狩猟採集の暮らしをしていた時代、もっともっとさかのぼって縄文に至るまで、今では土となり木となっているところに、数多くの先祖が脈々と紡いできたストーリーがあるはずだ。今やそれを知っているのは大地だけ。その大地のストーリーに耳を傾け語り継いでいく…僕たちにはそういった役割が課せられているのではないだろうか。
改めてそんな風に思い、帰り道、久しぶりに知床博物館へ足を運んだ。いつもはさっと流してしまうような古文献をじっくりと読みながら、知床に連綿と続いているストーリーについてボンヤリと考えていた。例えば、ウトロの中心地にある通称“神社山”には縄文のころの墓が発掘された。例えば、今では“ゴジラ岩”なんて言われているところは、「ウトロ」という地名の発祥の地だという話もある。それに、そそり立った岩の姿は、現代の僕たちが見てもかつてご神体として崇められていた可能性があることを容易に想像できる。ウトロ市街地の岩風景はある意味、“聖地”のような位置づけにすることが、この土地にとってもよいことだと思う。僕たちがその聖地を大切にしていることを、誰かにではなくこの大地そのものに聞いてもらう、そんな作業があっても良いと思う。
今この周辺の土地でまちなみ整備の作業が進められている。岩は保存することで確認がとれているが、整備のずっと前からすでにアスファルトの下になっているところに、どういったストーリーが埋まっているのか改めて知っておきたい。僕たちは地域としてまちなみ整備のプラン作りにおいて、こういった土地のストーリーには充分過ぎるほど配慮をしてきた。でもコミットできる立場にある人間として敢えて今一度、今度はうんと古い時代からのストーリーを再確認してみたいのだ。
その土地のストーリーを語り継いでいくこと…もしかしたら、これこそがまち作りの本質なのかもしれないと思う今日この頃。
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