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›4 24, 2001
魂の復活
動物や植物、風や水etc・・・そして人間。この世のあらゆる物ごと全てが「何か」を共有していると感じたことがあるだろうか。森の中を歩いていて「生」と「死」、「自分」と「森」といった全ての境界線が突然消えてしまうような体験におちいったことはあるだろうか。自分と外界との区別がつかなくなってしまうというと病的に聞こえるかもしれないが、そこから得られるインスピレーションには「許し」や、ちょっと臭いけど「愛」や「平和」といった僕の行動を支えてくれる啓示に溢れている。以前は「オレっておかしいんじゃないか」と思っていたが、今ではそんな感覚を持つことに嫌悪感を感じない。押し付けはしないが、もし世界中の人達がこのような感覚を共有できたらどんなに素晴らしいだろうと思っている。
この世の森羅万象が共有する「何か」というのを僕は知らないし、知りたいとも思わない。頭ではわからなくても体に染みついている感覚が大切だと思うからだ。僕はそれを「魂」と呼ぶことにしている。他人がどう思おうと、魂を意識して生きていくことは僕にとってとても豊かなことである。そして、北海道の先住民族アイヌはつい最近までそのような生き方をしていた。
去年の暮れから僕達はあるアイヌ民族の若いグループと共同でこの「魂」にかかわる仕事を進めている。それは、北方インディアンなどの間でムーブメントとなっている伝統的なカヌーの復元と航海術の検証、そしてそれらの取り組みを通してのアイデンティティの復興だ。アイヌ民族には「イタオマチプ」という素晴らしいカヌーが存在する。僕達はそれを復元し、同じ血をひく北方民族として2004年のカヌーフェスティバルを目標にアラスカまでの遠洋航海を実現させようとしている。表面的にはアイヌ民族のアイデンティティを見つめなおす取り組み、それをお手伝いする和人という図式にうつるかもしれない。しかし、最終的に行きつくところは「人間」がどう生きていくかを見つける作業であるはずだ。そして、アイヌ民族が大切にしているもので今の社会に欠けているもの、それは紛れもなく「魂」そのものである。
プロジェクトのメンバーは、試作の船を作ったとき「木は切ったあとでも生きている」ことを実感したそうである。「イタオマチプ」は船底部分が木をくりぬいた丸木舟の状態になっている。それを彫っている最中も木はねじれたり、割れたりして言うことをきいてくれない。そんな時は「頼むから良い仕事をさせてくれ!」と木にお祈りをしたそうだ。祈ることぐらいしか出来ないのである。そんな調子だから、木を切るところから船が出来上がるまで、数え切れないほどの祈りをその木は吹きこまれる。そうして出来あがった船は人間と自然の魂の合作だ。もちろん出来あがった後も、木は変化しつづける。その都度人間は祈りつづける。自然と折り合いをつけるというのはある意味そういうことなのかもしれない。
「自然保護」はしばしば頭の良い科学者・研究者のためのものである。僕達普通の人間に出来ることはないものか。このイタオマチプのプロジェクトが心の支えとしている故星野道夫が、著書の中で次のような言葉を紹介していた。
People claim the land by creating sacred sites,
by mythologizing the animals and plants
-they invest the land with spiritual powers.
Joseph Campbell
「人は聖地を創り出すこと、また動植物を神話化することによって、
その土地を自分のものにする。土地に霊的な力を与えるのだ。」
−ジョゼフ・キャンベル
アイヌ民族が北海道の原生林の中で生活をしていた頃、当たり前だがほとんどが“普通の人”だった。そんな彼らが大切にしていたこと、それは自然のスピリットとの交感、魂を大切にした毎日だったはずである。
折しも、WHOは健康の要素の中に今までの心と体の健康に加えて、「魂の健康」をつけ加えた。
先住民族の神話が単なる寓話ではなく、言霊のこもった壮大な“たとえ話”であることが少しずつわかりはじめた今日この頃、普通の人々である僕達がなすべき仕事も少しずつ見えてきたような気がする。
コメント
Hokulea2006さん、コメントありがとうございます。それから今後ともどうぞよろしくお願いします。
ホクレアですか〜。いろいろと共通の知り合いがいるかもしれませんね〜(笑)。
投稿者 藤崎 : 2005年02月20日 13:07
私はホクレアに興味を持ったのはここ5年くらいと新参者ですが、一人二人間に挟んだら、繋がりそうな気がしています。今後ともよろしくお願い致します。
投稿者 Hokulea2006 : 2005年02月20日 17:12
こんにちは。私はリモート・オセアニアの航海カヌー文化復興運動について趣味で研究しているものです。アイヌのカヌー文化復興運動については存じませんでした。これからそちらの方も勉強してみたいと思います。
本日、私のウェブログからトラックバックをつけさせていただきました。
投稿者 Hokulea2006 : 2005年02月20日 11:59